食養生の考えを知って健康増進
「食べる力は生きる力を育む」と政府も推進している「食」ですが、食養生は、古くは江戸時代から日本に根づいている考え方です。難しく考えず、できることから実践して、健康な身体をつくりましょう。
目次
- ○ 食養生(しょくようじょう)の歴史
- ・江戸のベストセラー「養生訓」
- ・食事療法の基本を確立した「石塚左玄」
- ・アメリカで食事の大切さを訴えた「マクガバンレポート」
- ○ 食養生料理の5つの基本
- ・身近な地域でとれる旬のものをとろう(身土不二)
- ・全体食でバランスをとろう(一物全体)
- ・人間の生理にかなった穀菜食をとろう(穀物菜食)
- ・陰陽のものさしでバランスをとろう(陰陽調和)
- ・とにかくよくかんで食べよう(正しい食べ方)
- ・食養生料理の実践の効用
- ・夏の養生食レシピ
食養生(しょくようじょう)の歴史
江戸のベストセラー「養生訓」
養生訓は、江戸時代の儒学者、貝原益軒が著した健康法の書です。1713年に刊行され、その後も何度も改版され、現代でも読まれているベストセラーです。
養生訓を記したのは貝原益軒が83歳のときです。
養生訓では、健康長寿のために必要なことが、食事、睡眠、運動、心の持ち方など、様々な角度から説かれています。特に、食事については、地域で採れた旬の食材を食べること、食べ過ぎないこと、ゆっくりと噛んで食べることなどを重視しています。
食事療法の基本を確立した「石塚左玄」
石塚左玄は、明治時代の医師で、食養という食事療法を確立しました。食養は、医食同源の考えに基づいており、食事は、単に栄養を摂取するためのものだけでなく、心身を健康に保つためのものであると主張しています。石塚左玄は、日本人の食性にあった食養を研究し、市ヶ谷の自宅に「石塚食療所」を開設しました。彼の治療法は、全国から患者が殺到し、明治天皇の耳にも届いたと伝えられています。
近代医学の発展とともに、食養は葬り去られてしまいました。しかし、石塚左玄の食養の考えは、思想家の桜沢如一氏や医師の森下敬一氏によって受け継がれ、マクロビオティックや自然医食などの食事療法として発展しました。
石塚左玄の食養の考えは、現代の私たちにも多くのことを教えてくれます。食事は、単に栄養を摂取するためのものだけでなく、心身を健康に保つためのものなのです。私たちは、石塚左玄の食養の考えを参考に、健康的な食生活を心がけるべきです。
具体的には、以下のようなものがあります。
1,玄米や野菜などの自然食品を多く摂る
2,食事はゆっくりと、よく噛んで食べるようにする
3,水分を十分に摂取する
4,適度な運動をする
5,ストレスを溜めないようにする
これらのことを心がけることで、心身ともに健康な生活を送ることができるでしょう。
アメリカで食事の大切さを訴えた「マクガバンレポート」
マクガバンレポートは、1977年にアメリカ合衆国上院特別栄養委員会が公表した報告書です。委員長はジョージ・マクガバン上院議員で、アメリカの食生活と健康に関する調査結果をまとめています。
報告書では、アメリカ人の食生活が不健康であること、そしてそのことが癌、心臓病、糖尿病などの慢性疾患の増加につながっていることが指摘されました。また、アメリカの食料産業が、これらの慢性疾患の増加に責任があることも指摘されました。
報告書は、アメリカ政府に、食生活の改善と食料産業の規制を推奨しています。報告書は、アメリカの食生活と健康に大きな影響を与え、アメリカの食生活と健康政策の転換につながりました。
マクガバンレポートは、アメリカの食生活と健康に関する重要な報告書です。報告書の指摘は、アメリカだけでなく、世界中の食生活と健康政策に影響を与えています。
食養生料理の5つの基本
養生法はからだもこころも、自分で正しく判断・コントロールして気持ちのいい生活を送るための、食事法・調理法・生活法を提案します。
養生法の中で食生活が特に重要であると云う考えのもとに食養生があります。
身近な地域でとれる旬のものをとろう(身土不二)
生命は「環境の産物」です。地元でたくさんとれる、その季節の旬の食べ物は、その土地と季節に合った健康なからだになるように自然が創ってくれています。
全体食でバランスをとろう(一物全体)
食物は全体として調和しています。全体丸ごととることで命のバランスがとれます。なるべく精製されてないもの、野菜も丸ごととるように心がけましょう。
人間の生理にかなった穀菜食をとろう(穀物菜食)
人間は本来、穀物菜食性の生き物です。穀物 50%、海藻・豆類 15%、季節の野菜類 30%、動物性蛋白 5%の割合(歯の割合)を心がけましょう。ただし、病気のとき、体質を根本的に変えたいときは動物性食品(肉、卵、魚、乳製品)はとらないほうがよい、その代わりに植物性蛋白(車麩、湯葉、高野豆腐、油揚げ、ガンモドキ、厚揚げ、湯豆腐等、特に味噌料理)に変えるとよいでしょう。
陰陽のものさしでバランスをとろう(陰陽調和)
東洋の伝統的哲学の原理でもある陰と陽を、食べものやからだのことを考えるときのものさしとして判断してみましょう。陰は拡散して行く遠心的なエネルギー、陽は収縮.していく求心的なエネルギーです。
とにかくよくかんで食べよう(正しい食べ方)
よくかんで食べることは基本の基本です。よくかむことで得られる効用ははかりしれません。最低 50 回を心がけ、習慣になるようにしましょう。
食養生料理の実践の効用
頭がスッキリしてくる。記憶力がウンと冴えてくる。疲れなくなる。 根気がよくなる。夢を見なくなる。睡眠は6時間で充分になる。判断が早くなる。実行が早くなる。作業率がグッとあがる。
夏の養生食レシピ
<とうもろこしと夏野菜のタルタル>
旬のとうもろこしと夏野菜、キヌアを混ぜ合わせ
塩、こしょう、オリーブオイルで 味付けしたシンプルな一品。
とうもろこしの糖質は消化吸収が非常に速く夏バテによる疲労回復やエネル ギーチャージに効果的です。
夏ならではの味わい。ぜひお試しを!
(4人分) 材料
とうもろこし 2本、にんじん 1本
きゅうり 1本、枝豆 80g
キヌア 100g
バジルの葉 4枚
自然塩、こしょう 少々
オリーブオイル 大さじ3
作り方
1 キヌアを目の細かいザルでよく洗い、塩を加えたたっぷりの湯で20分
ほどボイルします。 やわらかくなったらザルにあげ、水気をきり冷ます。
2 にんじんときゅうりは3~4mmのサイコロ状に角切りにしま す。 枝豆とにんじんは別々に塩を加えた湯でボイルします。 とうも ろこしは蒸してから実を包丁でこそぎます。
3 ボウルに冷めたとうもろこし、キヌア、にんじん、きゅうり、枝豆を 入れ、塩、こしょう、オリーブオイルで調味し味をととのえます。
4 セルクル型で抜いて皿に盛り、 バジルの葉のみじん切りとオリー
ブオイルを合わせたソースをあしらいます。